正道官衙遺跡公園 石碑詩句解説(8)

正道官衙遺跡公園は、紅梅寒梅、ソメイヨシノの時季から今は八重桜の時季へうつろいでいます。爽やかな薫風が頬に感じる青葉若葉の素敵な時期の到来です。

◎まつ マツ科 万葉詩句

磐代の 濵松が枝を 引き結び 眞幸くあれば また還り見む (有馬皇子)

いわしろの はままつがえを ひきむすび まさきくあらば またかえりみむ

有間皇子が自ら悲しんで松の枝を結ばれた時の歌

訳 ゜岩代の 浜松の枝を 引き結んで 幸い無事でいられたら また立ち帰って見ることもあろう・・・   眞幸(まさ)くあらば…眞幸くは無事にの意、護送先で処刑されるかもしれないが、もし許されてまたこの磐代の地を通過することがあったならば、という仮定を表す。

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もも バラ科 万葉詩句

春の苑 紅にほふ 桃の花 下照る道に出で立つ乙娘女(おとめ)

春の園の くれない色に咲いている 桃の花の 下まで輝く道に たたずむ乙女よ        夕暮れに春苑の桃李の花を高いところから見下ろして歌う      天平勝宝2年(1750年)の歌

訳 ゜苑は園と同義だが、園より広く、「園」はその一部分をさすことが多い。李はすもも、春白い花が群がり咲く。 紅にほふ…このニホフは赤く照り輝く意出で立つ娘子…この娘子は想像による点景か?

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※正道官衙遺跡公園には今回掲載した “まつ” “もも” の他、下記の万葉の木々が植樹されている。 (木々の名)

ねむ やなぎ つげ つばき やまたちばな(やぶこうじ)しらかし つつじ やまざくら しい えのき こなら くぬぎ にれ はぎ うのはな(うつぎ)やまぶき からたち まゆみ かつら つき(けやき)ふじ あしび かわやなぎ(ねこやなぎ) なし なつめ もも たちばな まつ ゆづりは うめ である。

※太字は解説済みの詩句 写真はクリックしてください。拡大します。(完)