歌は心のストレッチ(12)《クラシック音楽へのいざない》

私のまわりにクラシック音楽愛好家が多く居られますが、その方々は、このとっつきにくい音楽にどのようにして引き込まれたのでしょうか?生まれつき音楽に対する感受性が強くて、ふと流れてきた曲に魅了された方もおられるでしょうし、先生や友人たちに誘われていやいや付き合っているうちにその魅力にとりつかれた方も居られるでしょう。私の場合は後者です。少年時代を過ごした大分県の山村には、クラシック音楽の雰囲気など全くなく、いろいろな行事の時に奏でられる音楽といえば、歌謡曲・謡曲・民謡・浄瑠璃・詩吟などで、もちろんコンサートホールも楽団もありませんでした。

ただ終戦後の田舎には海外からの引揚者や都市からの疎開者がいて、人材はそろっていたと思います。長崎から疎開で来られ、わが田舎に新設された高等学校の音楽教師に就任された方もその1人で、美しいソプラノで我々生徒を魅了しながらクラシック音楽の素晴らしさを熱心に教えてくれました。有名なオペラのアリア(例えば、椿姫より乾杯の歌)、シューベルトなどの歌曲、それに有名な曲のメロデイに詩を付けたもの(例えば、汝が友=ツィゴネルワィゼン、家路=新世界より、ウイーンの都=ウイーン奇想曲など)を授業を通して教え、課外でレコード鑑賞(当時はSP盤で、再生装置は電蓄とよんでいた)をしてくれました。

その後、学生寮で同室の男に誘われて、当時発売されたLP盤のレコードコンサートに引きずり回されているうちに、なんだこの曲も知っている、あの曲も知っていると高校で植えつけられた種が芽を吹き、いつの間にかクラシックフアンになって居ました。

本年は1月に、文化パルクでのニューイヤーコンサート、4月に、なら100年会館でのコンサート(いずれも、関西フィルハーモニー管弦楽団)でクラシックをエンジョイしました。