正道官衙遺跡公園石碑、万葉歌解説NO19

◎正道官衙遺跡公園には万葉の木々が植樹されている、傍にたてられている石碑に木々に想いを寄せた万葉歌が記されています。下記の太字の木々は解説済みです。※印は今回解説の万葉木々

※ねむ ※やなぎ つげ つばき やまたちばなやぶこうじ)しらかし つつじ やまざくら しい えのき こなら くぬぎ にれ はぎ うのはなうつぎやまぶき からたち まゆみ かつら つき(けやき)ふじ あしび かわやなぎねこやなぎ) なし なつめ もも たちばな まつ ゆづりは うめ

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2017.1.15降雪の正道官衙遺跡公園            1月19日 梅ほころぶ

今回解説の詩句 ねむ やなぎ

ねむ

昼は咲き 夜は恋ひ寝る 合歓木(ねぶ)の花 君のみ見めや 戯奴(わけ)さへに見よ 

解説

昼間は咲き 夜は恋いつつ寝るという ねむの花ですあるじだけみるべきでしょうか 戯奴(わけ)も見なさい

ネブの花期は夏 ツバナの食べられるのは春で時期が合わない。作者はネブを合歓と書くことに興味を覚え、これを家持に贈って謎をかけ、来訪をうながしたのであろう。 意味深な万葉歌である。

002万葉歌石碑

やなぎ

浅緑 染め掛けたりと 見るまでに 春の柳は 萌えにけるかも

解説

浅緑色に 糸を染めて掛けたのかと 見るほどに 春の柳は 芽がでたことよ

浅緑:薄い緑色に ミドリは本来、草木の新芽 若い枝を意味するが、その後色名にも転用されている。 染掛けたり:糸を染色して竿などに掛け、干してある見るまでに:マデの原文「左右」は、両手をマデと言い、横に思い切り広げてぎりぎり一杯であることを示す身振りから出た表記 春の柳:やなぎの原文「楊」はかわやなぎを指す字。ここはしだれ柳と通用させている。

※他の柳の歌

山の間に 雪は降りつつ しかすがに この川柳は 萌えにけるかも

解説

山あいに 雪は降っている それなのに この川柳は もう芽がでたことよ

                            (完)