歌は心のストレッチ(15)《いなかのミュージカル》

もう7年も前のことになりますが、ふるさと(大分県玖珠町)の友人から「おだち集まれ」という新聞広告を受け取りました。「おだち」とは方言で、よく言えば「何事も前向きで、積極的な人」、悪く言えば「目立ちたがりな人」という意味で、動詞は「おだつ」です。幕末から明治にかけて、村の殖産興業に大きな功績を遺した先達の活躍をテーマにしたミュージカルの出演者を募集する広告でした。「おまえも結構おだちだからな」「どうせ歌うことが下手だから端役しかあたえないから、全練習に参加しなくてもいいよ」でしたが当時仕事をもっていたので参加は断り、旅費に相当する金額をドカンと寄付しました。

プロモータは地元のお寺の住職、演出は中央で演劇活動をしている地元出身者、原作は元中学教師の郷土歴史研究家、シナリオはNHKで活躍のシナリオライター、音楽は鉄腕アトムを作曲した著名な作曲家、とスタッフは充実しており、出演者は地元に住んでいるか地元の出身者に限定したものです。実際には地元に住んでいる人々に落ち着きました。ミュージカルの題目は「龍を見る人」でした。2回公演の予定が、人気がつよく、前売り券不足になり、4回+大分市公演1回の5回公演になりました。

こけら落としにはドカンと寄付したのが効いて招待され、家内と鑑賞に行ってきました。素晴らしい音楽と演出で、いなかの底力を感じました。写真はホール玄関まえのアーチです。

龍を見る人 龍を見る人