老いを意欲的に…老いと向き合う Tさん(会報から転載:Tさん口述)

『この歳になると、前しかあらへん… 後ろを振り返りって(悔やみ.悩んでも)仕方ない!』

昭和5年(1930年)生まれのTさん(83歳)さんの自宅の応接間でお話を伺った。

温かい陽が射す応接間には水彩画が3点、書も額縁に納められ壁に掛けられていた。

子たちが幼い頃に弾いておられたのか、ピアノと電子オルガンが納まりよく配置されていた。よく使われているのかパソコンも机上にあった。 私が応接間に通されたのは 二度目である。 一見して多趣味で味わい深い老年を過ごされている、雰囲気が感じられた。 渋茶を頂きながら含蓄のある話で “あっ” という間に二時間余りが経過した。

生まれは滋賀県八日市で、1歳上の頑強な男どもは  少年航空兵や予科練に志願し、次は自分たちの番だという時に終戦…。  戦前、戦中、戦後の悲惨な生活実態を全て体験したことが、以後の生き方を決定づけたと語る。特に幼少期には大恐慌に翻弄された両親が7人の子どもを食べさす為に、様々な職を得て、懸命に生きんが為の壮絶な姿を日々心に刻んで成長してきたそうだ。

  ↓ Tさんが67歳ごろに東部コミセン絵画教室で学び描いた水彩画

006     007

                           ↓同時期に習った書画

008 009

≪ T さん 語録 ≫

  • 今の若いもんは可愛そうや!わしらはどん底の日々を 体験した。“生きる”術を知っている。辛抱が出来る。若い人の“欲”は今、際限がない…どこかで飢餓心を抑え、御さなあかんやろな~ 大変な時代や!
  • 歳を忘れること、意識せんことや!歳を語ると、ついつい“病気” “不便さ” “不遇”“愚痴”の話に繋がる。
  • 子どもが有ろうが、無かろうが、最後は夫婦や!両方健康なら万々歳、そうはいかん、どちらかが元気で、元気な方が出来る範囲で相手の世話をする。 まずは健康で前向きの気持ちが大切!楽しく生きよう

≪T  さんは求められて68歳まで現役を続けられた

職を辞した時に、これからは健康であらねば…そして、楽しく活き活きと日々過ごさなければとの気持ちで、毎日1万数千歩歩こう!地域のカルチャー教室を訪問し、打ち込めるのは何かを知ろう!(チャレンジ)

そこで、水彩画の師と友を得た、囲碁、麻雀、陶芸、書画、ピアノの教室で学ぶようになった。強い意志の力、特に幼い頃に体得した色彩感覚を生かした水彩画は見事である。部屋に飾られている書も額入りで篆刻が押されて、見栄えのする書である。

このように趣味を通して師を得、友を得、生きる力を増幅されたようである。年齢を感じさせないポジティブな思考と、表情の柔和さが素晴らしいと私は感じた。

≪正道官衙ストレッチで、日の出に映える雲の美しさに感動…新たなる発見≫

夜明け時に指導者の号令で大きく両手をひろげて深呼吸をした時に、今さらながら気づいた陽光に照らされる“雲”“雲の模様”が印象的でとても好きだ!とのこと。

今まで自宅では見ることの出来なかったこの“雲”が眩しく美しいものに見え、心を大きく膨らませてくれた。 “正道官衙ストレッチ”に参加してよかったと感じた一瞬だったと、語っていただいた。

↓遺跡公園清掃ボランティアにも参加 寒肥施しで見事に開花した梅  コミセンストレッチにも参加

012 002 001

“正道官衙でストレッチを楽しむ会”の会報は毎月発行しています。ご希望の方はお問合せ欄で住所氏名を記入いただき、Eメールアドレスを明記ください。送付いたします。   (匿名は不可)     上記文章はTさんのお許しを得て転載

(完)