歌は心のストレッチ(34)《コンサートホール》

敗戦からようやく復興に向かい始めた昭和20年代終期、従来のSPレコードに替わって、LPやEPレコードが発売されました。しかし、LPレコードは当時でも2,000円前後の値段でしたし、さらにLP・EPレコード用の音響機器までそろえる必要があり、庶民には高嶺の花でした。そこで、公民館などの公共施設でレコードコンサートが盛んに開催され、私も友人に誘われてせっせと通いました。

ちょうどそのころ「カーネギーホール」という映画が公開され、観に行ったところ、レコードでおなじみの音楽家たち、例えばストコフスキー(指揮者)やハイフェッツ(バイオリン)などが出演され、名前だけ知っていた音楽家たちの顔姿とともにカーネギーホールというコンサートホールが目に焼き付きました。

時は過ぎ、60歳を越えて老境に達した時、家内とニューヨークを訪問し、ホテルで早めの夕食をとり、街をあてもなく散策していたら、偶然カーネギーホールの前にさしかかりました。当日、公演があり、入場券も買えるということで即入場しました。当日のプログラムはシューベルトの生誕記念ということで、シューベルトの作品をメインにして、コダーイとヘンデルの小品を加えたものでした。

さて、このたび岡崎に「ロームシアター京都」がオープンしました。去る4月15日、オープニング記念事業の1つとして「アンサンブルアカデミー京都」の演奏会があり、友人が出演されたので聴きに行ってきました。日本にもカーネギーホールに劣らぬ立派なホールがいくつもできました。しかし、心のストレッチに必要なホールは格式や芸術性よりも潤いのある空間だと思います。その意味で、私にとって一番のお気に入りホールは「文化パルク城陽」です。