正道官衙遺跡には万葉の木々が植樹されています。その根元の歌碑の解説 NO15

自然の美しさと共に時として、その脅威に身の危険を感じ、慄き、自然を制圧したかに思う人の心の傲慢さ…東北に襲いきた津波:地震、今回の堤防決壊水害、御嶽山、桜島、阿蘇山にみる噴火、傲慢な人間社会に対する警鐘とみるべきだろうか、はてさて?

正道官衙遺跡公園にもいつの間にか赤とんぼの乱舞する時季がやってきました。

芝生も刈りこまれ美しさが際立つ正道官衙遺跡公園、周遊散歩の老若男女、幼子が集う…

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満月のさえる正道官衙遺跡公園           万葉歌碑

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万葉詩歌解説 カテゴリー “正道官衙アラカルト”を検索ください                             ※正道官衙遺跡公園には万葉の木々が植樹されている、傍にたてられている石碑に木々に想いを寄せた万葉歌が記されています。下記の太字の木々は解説済みです※印は今回解説の句

ねむ やなぎ つげ つばき やまたちばな(やぶこうじ)しらかし つつじ やまざくら しい えのき こなら くぬぎ にれ はぎ うのはな(うつぎ)やまぶき からたち まゆみ かつら つき(けやき)ふじ あしび かわやなぎ(ねこやなぎ) なし なつめ もも たちばな まつ ゆづりは うめ 

万葉歌碑解説 NO15 あしび まゆみ を解説いたします。

◎あしび

磯のうへに 生ふる馬酔木を 手折らめど みすべき君が ありといはなくに

(解説)                                磯のほとりに 生えているあしび 折りたいが お見せする相手のあなたが いるわけではないのに

上記一首は、今考えてみると、移葬の時の歌らしくない。ひょっとすると、伊勢神宮から都に変える時に、道のそばで花を見て、悲しみ咽び泣いて、この歌を作られたものか。

磯のうえ…池畔や川岸の岩のある所をさしたもの。 あしび(馬酔木)…ツツジ科の常緑低木、早春に白いつぼ状のの花が咲く。馬酔木と書くのは、これが有毒植物で馬が木の葉を食すると酔ったようになることによる。

◎まゆみ

み薦刈る 信濃の真弓 わが引かば 貴人さびて いなと言うはむかも (禅師)

(解説)                                  み薦刈る(みこもる)信濃の弓を引くように わたしが貴女の気を引いたら、貴人ぶって いやと言われるであろうか  (禅師の作)

み薦刈る…信濃の枕詞 ミ…ミは水の意か コモ…沼地に生えるイネ科の多年草我が引かば…私が誘惑したら。ヒクは弓の縁語 うま人さびて…ウマ人は貴人、ウマは立派である意の形容詞ウマシの語幹 サブ…それらしく振舞う意 主語は石川郎女

今、正道官衙の風情は朝露踏み踏み… 昼間から夕方にかけて赤とんぼが乱舞し、日が落ちると虫の声が… まさに秋まっただ中、万葉の歌碑を求めての散策もまたよし・・・    (完)