「 凛とした雰囲気,五体を駆使した舞! 私を魅了した」

凛とした雰囲気、五体を駆使した舞! 私を魅了した

ふとした切っ掛けがご縁で、私は文化パルク・プラムポールで毎年開催される舞踊❛あじさいの会❜裏方のお手伝いをさせて頂くようになった。

010天童舞庵 庵主 天童龍輝 さんの舞姿

もう、8年になるだろうか…、最初は関西各地からお越しになる家元、会主のお名前とお顔が一致せず、勿論、いか程の舞の達人であるかも全く存じ上げない舞踊の素人の私であった。しかし、楽屋での受付など雑事を仰せつかるうちに、着物の着付け振りや物腰、もの言いに、醸す品格と雰囲気を感じるようになった。永年鍛えてこられたであろう家元、会主の独特な貫禄と推察し、心地よいひと時を楽屋裏で共有させて頂いてきた。

裏方は金銭の授受やご案内と気苦労が多く、80歳を超える私には肉体的にもかなりきついが、頼まれれば断れない性分、今まで経験したことのない舞踊界の雰囲気やその伝統がもたらす気遣い、しきたり等も結構感じられるからして私には結構楽しく8年もお手伝いさせて頂いている。

3年目位からはタイミングを見て客席に潜り込み、家元・会主・高弟の踊りを見せて頂くようになった。

素人ながらも家元・会主の舞の凄さ、良さ、年期の入った舞、五体駆使した舞は、素人の私にも十分感じられて、舞台を堪能するようになってきた。 役得である。

勿論、客席の暗闇に紛れて大きな声で『素晴らしい!』『よぉ~、おぉ~』等、タイミングよく合いの手を入れて、しらずしらずに盛り上げる?声掛けをしている私!

そんな脳天で目立つ私に声をかけていただく家元・会主・高弟もおられ益々『あの家元の踊りを見せていただこう!』という気持ちになっていく。同時に、家元・会主の舞に魅了されつつも、他のお弟子さんの踊りとの違いも、素人ながらはっきりと解るようになってきた。

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日本舞踊の魅力はどこにあるんだろう? 私は思うに…、まず着物を着た所作(しぐさ)、動きの美しさであり、その立ち居振る舞いに礼節、謙譲の美徳、感謝といった見えない心の一端が舞う姿、舞台で感じられなければならないだろう。

すっと伸びた背筋に、軸の通った動き、なめらかに弧を描く動作、そうした流れに添って揺れる袂、ひらりとなびく裾など、身体に添う着物の動きに見る人をして感動を与えるのであろう。

家元・会主とお弟子さんの舞台を見る時に、スーッと立った立ち姿、中腰の体の輪郭柔らかさ、スーッと伸びた手の指先、その指先を見る眼(まなこ)どれもこれも何十年積み重ねてこられた至芸の極み! 見る人をして感動と幽玄・艶・美の世界に誘うのである。

芸事には素養もあろう、しかし、多額な月謝など舞にかけた年月、情熱が凛とした舞台を作り上げているんだと感嘆しきり…命あり、元気さあり、頼まれれば、この裏方は続けさせて頂こうと思っている。

元会員 93歳今なお矍鑠と舞台で一杯舞う天童龍輝(鳥居)さんの100歳祝う舞も見たいものだ! 後、7回・・・・    (完)