歌は心のストレッチ (23) 《音感》

一年ほど前、由紀さおりショーが文化パルク城陽でありました。家内ともども由紀フアンで、さっそく駆けつけました。公演ではジャズも数曲歌われ、私の好きな「You will be so nice to come home to 」も、きわめて流暢な英語で歌われました。もともとジャズを歌っていたペギー葉山やフランク永井などは別格にしても、石原裕次郎や美空ひばりたちも流暢な英語で歌われます。多分、微妙な音の違いを聞き分ける高感度な耳と、それを忠実に再現できる高性能な声帯、即ち高度な音感をもっているのだと思います。

私は現役時代、仕事上で英米人と付き合うことが多く、よく英語の歌を歌いましたが、私の場合はレコードなどで聞いた通りに歌うと「それ何語?」とか「何を言っているのかわからない」といわれ、カタカナ英語で歌うと「わかった」と言われたものです。例えば、ダイナショアのヒット曲「ボタンとリボン」のBottons and Bows は「バッテンボー」と聞こえるから、聞こえたように真似して発声すると、「わからない」といわれ、「ボタンズ アンド ボウズ」とカタカナ英語で発声すると、「わかった」と言われます。

プロの歌手でなくても、本会の世話役である山本進さんや山本貴慎さんなどコーラスをされている方々は、伴奏や他の声を判別し、自分のパートの音を発声できる音感を持っているのだと思います。私の場合は、ご先祖さまから優れた耳と声とをいただいていないので、開き直ってもっぱらカタカナ英語で歌も会話も進めながら楽しんで来ました。

ところが、その性能のあまりよくない耳に最近変調が起きました。イヤホンでラジオを聴いていて気が付いたのですが、右の耳にエコーが入るのです。耳鼻咽喉科で検査してもらったところ、聴力には問題がなく、エコーの原因と思われる脳の画像にも異常がないから、エコーは加齢によるものでしょうとの診断でした。加齢現象なんていやですね!