正道官衙遺跡公園内 万葉歌碑解説 NO16

正道官衙遺跡には朝露、赤とんぼの群舞、木々の紅葉、秋深まるの風情を醸し出しています。正道官衙ストレッチに集う人たちも、少しの冷え込みが却って爽やかさを感じるということで、早起きもいとわず喜び倍増の良き時季を満喫しています。

万葉歌碑の解説もNO16、時季もよし遺跡訪問の人たちが最近多くのなりました。今回は “たちばな” と “からたち”の解説をいたします。

↓ 四季折々の風情をもって迎え入れてくれる正道官衙遺跡

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020 正道官衙遺跡の石碑

◎たちばな

橘の陰履(ふ)む路の 八衢(やちまた)に 物を思う 妹に逢わずで    三方沙弥の作

解説

橘の木蔭を踏む道の 分かれ道のように あれこれと思い悩んでいます 貴女に逢えないで

  • 橘…ミカン科の常緑小高木、当時 みかんにあたり、最上として珍重された
  • 影踏む道の…木が地上に影を落とし、往還の人がそれを踏んで通る道、街路樹とも言われていた。
  • 八衢(やちまた)…チマタは道の股、辻 八は数の多いことを示すのに用いる代表的な数。あれこれと思い迷うことのたとえ

◎からたち

枳(からたち)の棘原(うばら)刈り除け 倉立てむ 屎遠くまれ 櫛造る刀自

 解説

からたちの いばらを刈り除いて 倉を建てるのだ 屎は遠くに行ってせい  櫛造りのおばちゃんよ

  • からたち…ミカン科の落葉低木 鋭いとげがある 
  • 棘原(うばら)…とげのある植物の総称      
  • 刈り除け…のける意 ・倉…穀倉のこと 
  • 屎遠くまれ…まれは大小便のこと ・刀自…卑賤な女性に戯れた呼びかけ

万葉詩歌解説 

正道官衙遺跡公園には万葉の木々が植樹されている、傍にたてられている石碑に木々に想いを寄せた万葉歌が記されています。下記の太字の木々は解説済みです。※印は今回解説の万葉木々

ねむ やなぎ つげ つばき やまたちばな(やぶこうじ)しらかし つつじ やまざくら しい えのき こなら くぬぎ にれ はぎ うのはな(うつぎ)やまぶき ※からたち まゆみ かつら つき(けやき)ふじ あしび かわやなぎ(ねこやなぎ) なし なつめ もも ※たちばな まつ ゆづりは うめ

≪情報≫

城陽市内には、縄文時代の森山遺跡をはじめ、古墳や神社・寺院跡など貴重な遺跡や文化財が数多くあります。
森山遺跡には縄文時代の集落遺跡や弥生時代の竪穴住居あとが見つかり、正道官衙遺跡は奈良時代の久世郡衙(役所)と推定され、遺跡として整備されている。

その一つである “久津川車塚古墳”の2015年度発掘調査現地説明会が9月19日に車塚古墳ないで行われた。現地説明と言えば奈良… この城陽の地にも素晴らしき未解明の古墳群が…

車塚古墳は史跡整備に向けて、墳丘の規模、形態や段築構造を明らかにするために調査に着手。2013年に墳丘の測量調査を行い、2014年から発掘調査を開始し墳丘の西側に造り出しを持つことを確認、今回の2015年度調査では西造り出しの構造を全面的に解明するために行われた。その現地説明会であった。

現地説明会は朝早くから多くの人たちが集われ、史蹟担当者の詳細に説明に熱心に耳を傾けられていた。 まことに興味の尽きない古代のロマンと感じたのは私一人ではなかろう。

今では整備された史跡 正道官衙遺跡、芝が原古墳、森山遺跡は出土品共々、未来永劫に古代の佇まいを伝え、語りつがれていくであろう。    (進)