正道官衙遺跡公園 万葉歌碑 解説NO17

2016年1月に正道官衙遺跡公園万葉歌碑解説NO16を掲載して以降、随分と月日が経過しました。 万葉歌碑の16回の詩句の解説には城陽市の資料館員の資料提供をいただきました。

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万葉詩歌解説 太字の21の木々を読んだ万葉詩句はすでに解説済みで、このホームページをさかのぼってお読みいただければ幸いです。

◎正道官衙遺跡公園には万葉の木々が植樹されている、傍にたてられている石碑に木々に想いを寄せた万葉歌が記されています。下記の太字の木々は解説済みです。※印は今回解説の万葉木々

ねむ やなぎ つげ つばき やまたちばな(やぶこうじ)しらかし つつじ やまざくら しい えのき こなら くぬぎ にれ はぎ うのはな(うつぎ)やまぶき からたち まゆみ ※かつら つき(けやき)ふじ あしび かわやなぎ(ねこやなぎ) なし なつめ もも たちばな まつ ゆづりは うめ

かつら

向(むか)つ峰(を)の 若桂(わかかつら)の木 下枝(しづえ)取り 花待つい間に嘆きつるかも

解説

向こうの山の 若い桂の木の下枝を手に取って 花が咲くのを待つ間に ため息をついたことだ

若桂の木…カツラはかつら科の落葉高木 葉に先立って淡紅色の小さな花をつける。少女のたとえ。花待つい間に…このイは連帯格の下につく間投助詞。少女が成人するのを待つ気持ち。

〇ねぶ

昼は咲き 夜は恋ひ寝る 合歓木(ねぶ)の花 君のみ見めや 戯奴(わけ)さえ見よ

解説

昼間は咲き 夜は恋いつつ寝るという ねむの花です。あるじだけ見るべきでしょうか、戯奴(わけ)も見なさい。

ネブの花期は夏 ツバナの食べられるのは春で、時期が合わない。作者はネブを「合歓」と書くことに興味を覚え。これを家持贈って謎をかけ、来訪を促したのであろう。            (完)