欧米を旅行すると街角で楽器を演奏する姿が多く見られます。私が小学校に入学した頃、満州国のハルビン市(現、中華人民共和国ハルビン市)に住んでいました。ハルビンはロシア人が建設した街で、多くの白系ロシア人が住んでいました。四階建アパートの中庭にロシア人夫婦がしばしばやって来て、バラライカとバイヤンで荒城の月など日本の歌曲を演奏し、生活の糧を稼いでいました。母の指示で、前に置かれたシルクハットの中にコイン(50銭=ウーモーチェン)を入れたことを憶えています。時が経て、老境に入って、欧米を旅する度に幼少時のことを思い出しました。スペインのアルハンブラ宮殿入り口で、ギター音楽の名曲「アルハンブラの想い出」を演奏しているのを聞いていて、ツアー団体からはぐれて迷子になったこともあります。
さて、最近は日本でも街角での演奏をよく見かけるようになりました。写真は京阪三条駅での電子オルガン演奏会の模様です。
注)バラライカ=マンドリンに似た三角形の楽器。バイヤン=アコーデオンと同 じだが鍵盤がなく、バンドネオンのようにボタンがあるもの。