◎ゆづり葉の木 (歌碑の傍に植樹されている)
正月の飾りつけには欠かすことができない “ゆづり葉” を歌った歌碑が正道官衙遺跡公園に建立され、その傍に植樹後21年の生育を誇示するが如く背丈5mもあろう立派な‘ゆづり葉の木’がある。(建立場所&石碑写真参照)
古に 恋ふる鳥かも ゆづるはの 御井(みい)の上より 鳴き渡り行く
この歌が詠まれたのは持統四年(690年)五月、持統天皇がが吉野宮に行幸された時に、弓削皇子(ゆげのみこ)が額田大王(ぬかたのおおきみ)に贈られた歌一首
解説
古(いにしえ)に恋ふる鳥かも…このイニシヘはイニシヘ人の意、天武天皇のことを言う
ゆづるはの御井…そばにゆづり葉の木があるところから名付られた離宮の泉か?
鳴き渡り行く…北方飛鳥の方へ鳴き行くのをいう。鳴くは人の泣くことを言う
ゆづる葉の木(石碑の前方の木) 正道官衙坂道の上方右手 ←写真をクリックすると拡大します
◎梅の木 (歌碑の傍に植樹されている)
馬並めて…梅の石碑 早、紅梅の蕾が
寒風が吹き荒れ、冷え込みも厳しい12月下旬、遺跡公園の紅梅はふっくらと蕾を膨らませている。 梅を詠まれた歌一首
馬並(うまな)めて 多賀の山辺(やまへ)を 白たえに にほはしたるは 梅の花かも
解説
(語訳)馬並めて高の山辺を、まっ白に彩っているのは 梅の花であろうか。
馬並めて…友人たちと馬首を連ねて出遊したときに、地名の多賀の枕詞として即興で冠したもの。
白たえに にほはしたるは…白く彩り染めたのは。ニホハスはニホフに対する他動詞。ニホフは本来、赤系統の色が現れ出ることをいうが、時には白色にも用いる。ここもその一例。
※正道官衙遺跡公園には今回掲載した“ゆづり葉の木” “梅の木”の他、下記の万葉の木々が植樹されている。 (木々の名)
ねむ やなぎ つげ つばき やまたちばな(やぶこうじ)しらかし つつじ やまざくら しい えのき こなら くぬぎ にれ はぎ うのはな(うつぎ)やまぶき からたち まゆみ かつら つき(けやき)ふじ あしび かわやなぎ(ねこやなぎ) なし なつめ もも たちばな まつ である。
※太字は解説済み
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(完)