昭和21年にバタやんこと田端義夫が歌って大ヒットした「かえり船」(作詞:清水みのる、作曲:倉若晴生)は当時の世相を表し、人々の共感を得たことがヒットにつながったといわれています。昭和21年は終戦から1年が過ぎた時で、海外に展開していた軍人さんの復員や、居留民の引揚が本格化した年です。懐かしい日本の土地に踏み入れて、流れているこの曲を聴き、自分の境遇とあわせて哀愁をおびた曲と詩に心の琴線を共鳴させたことが大ヒットにつながったといわれています。 さらに数年おくれてシベリア抑留の軍人さんたちの復員が始まった頃、吉田正作曲の「異国の丘」が大ヒットしました。
私も旧満州国から昭和21年10月に引き揚げてきて、佐世保浦頭港に上陸しました。収容された旧海軍兵舎は現在跡形もなく、ハウステンボスの一部になって居ますが、港近くに引揚記念館ができていて、その1画に「かえり船」の記念碑が造られ、当時をしのばせています。